2009年6月の読了本まとめ
2009年9月12日 19:44
アフターマン |
ドゥーガル・ディクソン著。 数年ぶりに何度目かの再読。 人類が滅亡した後、5000万年後の地球にはどんな生物が暮らしているのか、という if を本気で考察した本。 何度読んでも楽しいけど、生物の進化について、ある程度予備知識を持ってから読むと、さらに面白かった。 ペンギンから進化したクジラっぽいやつとか、コウモリの島とかが尖ってて好き。 正にサイエンスフィクション! 6月1日読了。 |
アマゾン・ドット・コムの光と影 |
横田増生著。 非常に読みやすく、一気に読了しました。 4年前の本なので、ちょっと古いものの、物流の視点からアマゾンを分析する内容は、Web屋の僕には新鮮でした。 「階層化する労働現場」に関する筆者の危惧は、2009年現在、凄い勢いで一般常識化されていますね。 6月2日読了。 |
ナショナルジオグラフィック2009年6月号 |
河に棲むピンクのイルカって、なんか良いな。 あと、アラブ系キリスト教徒の記事も良かった。 洞窟探検の記事は、なんか尻切れトンボな感じ。 6月3日読了。 |
7~モールモースの騎兵隊~オフィシャルガイドブック |
俺、今度こそ『アルメセラ年代記』1000年目指すんだ......。 というか、ゲームの攻略本なんであんまり語ることがないです(笑)。 6月4日読了。 |
宿縁の矢 |
マーセデス・ラッキー著。 『ヴァルデマール年代記』シリーズの『ヴァルデマールの使者』三部作の二作目。 タルマとケスリーのシリーズが、比較的オーソドックスな冒険物であるのに対して、このシリーズは、登場人物の(というか主人公タリアの)内面に深く入り込む、挫折と成長のストーリーなんだな、という印象。 積雪で孤立したシーンの何とも言えないストレスと、その後の解放感の対比が心地よかった。 6月7日読了。 |
狐火の家 |
貴志祐介著。 『硝子のハンマー』の探偵コンビによる、密室物連作短編集。 この探偵コンビはなかなか魅力的なので、続編が出たのは嬉しいです。 読みやすくて、一気に読了。 特に表題作の『狐火の家』は、ところどころに散りばめられた不気味なメタファが秀逸。 『黒い牙』のトリックは、さすがに「ねーよwww」と思ったけど(笑)。 ラストの『犬のみぞ知る』は、何と言うか、バカバカしさが『逆転裁判』みたいだった。 6月7日読了。 |
アイズ |
鈴木光司著。 ホラー短編集。 どの作品も、どうにも釈然としない不気味な余韻を残して終わる物語......を意図して書かれているんだろうな、とは思った。 ただ、収録されている全ての作品でそれが成功しているようには見えなかった。 怪談的な余韻というよりは、消化不良だったり意味不明だったりするオチが目立った。 ちょっともったいないなー、と思う。 6月8日読了。 |
世界一おもしろい日本神話の物語 |
鳥遊まき著。 古事記の内容を、わかりやすく要約した本。 国生みからヤマトタケルまでの流れを、あっさりまとめて読めたのが良かった。 小学校中学年くらいの子に読ませたらちょうど良いんじゃないかな。 6月9日読了。 |
天使と悪魔(上) |
ダン・ブラウン著。 『ダ・ヴィンチ・コード』より前に書かれた作品だったんですね。 本作も同様に、ラングトンが事件に巻き込まれたまま、スピーディに明かされていく様々な謎。 読んでて単純に楽しいですね。 「宗教vs科学」っていうテーマは、色々と考えさせられる。 6月10日読了。 |
天使と悪魔(中) |
ダン・ブラウン著。 上巻から展開がますますスピーディになり、壮大なオリエンテーリングに突入。 カメルレンゴがどんどん男前になっていくなー。 そろそろ怪しい人物が絞られてきた感じ。 下巻が楽しみ。 6月11日読了。 |
天使と悪魔(下) |
ダン・ブラウン著。 『ダ・ヴィンチ・コード』より面白かった。 ヤヌスの正体については、ストーリー展開が『ダ・ヴィンチ・コード』と酷似しているせいで、逆に騙されてしまった感じ。 非常に上質なエンターテイメント作品でした。 6月11日読了。 |
火吹山の魔法使い |
スティーブ・ジャクソン イアン・リビングストン著。 20年以上ぶりに読んだ、ゲームブックの元祖。『ファイティングファンタジー』シリーズの記念すべき第一巻の復刊版。 内容を全然覚えてなかったので、普通に楽しんでプレイできた。 前半の、後戻り不可な一方向型迷路と、後半の双方向マップのダンジョン。ラストのパラグラフジャンプ等、この作品の後に出たゲームブックのシステムの原型はもう既にほとんどここに詰め込まれていたんだなぁ。 あと、意外と文章は淡々としていた。 6月18日読了。 |
フューチャー・イズ・ワイルド |
ドゥーガル・ディクソン著。 数年ぶりの再読。 500万年後、1億年後、2億年後に、生物がどんな進化を遂げているのかを考察した楽しい本。 同じコンセプトの『アフターマン』が、5000万年後の時代に絞って考察していたのに対し、こちらは三つの時代に渡っているために、それぞれの時代についての考察がちょっと物足りなかった印象。 あと、脊椎動物があんまり活躍していないのが、脊椎動物の自分としてはちょっと残念だった(笑)。 とはいえ、非常にワクワクできる良い本でした。 6月20日読了。 |
プレデター 猛獣と捕食者 |
ジョン・セイデンスティッカー著。 捕食動物(一部食虫植物とかも含む)にフォーカスを当てた図鑑。 イラストや写真はめちゃくちゃ綺麗だった。 ただ、文章があまりにも直訳過ぎて、ちょっと酷かった。明らかにプロの翻訳家による訳じゃないだろ、これ......。 6月21日読了。 |
バルサスの要塞 |
スティーブ・ジャクソン著。 20数年ぶりに読んだ『火吹山の魔法使い』に続く『ファイティングファンタジー』シリーズ第二弾のゲームブック。 前作以上に内容を全く覚えていなかったので、ほとんど初読みたいな感じで楽しく遊べました。 前作と比較して、マッピングがしにくかった。 その反面、バルサスの砦に住む敵それぞれに、生活感がにじみ出てて良かった。 魔法のシステムは、同作者の『ソーサリー』と比較すると、やっぱり実験段階かなぁ、という印象。 訳者の浅羽さんが、本作では「monster」を「妖怪」と訳したのは、どういう意図だったのかが気になります。 6月22日読了。 |
新世界より(上) |
貴志祐介著。 貴志さん、まさかのファンタジー。あるいはSF。 主人公の手記を読んでると、最初は普通に現代日本っぽい世界かと思ってたら、だんだん「あれ?なんか違う?」って感じになっていくので、先が気になってどんどん読み進められた。 学校での生活の描写が多くて、なんか日本版ハリポタみたいな感じ。続きが楽しみです。 あと、関係ないけど、やっぱり貴志さんには一度ゲームブックを書いてみて欲しい。と、『クリムゾンの迷宮』を読んだときぶりに思った。 6月22日読了。 |
新世界より(下) |
貴志祐介著。 生態系を細かく設定しているのが、薀蓄好きの貴志さんらしくて良かった。 最後、気がつくと人間よりバケネズミに感情移入してしまって、小野不由美さんの『屍鬼』とちょっと重なった。 とにかく面白かった。 ただ、主人公の手記という体裁を取っている都合上(そして序盤の記述から)早季と覚が最後まで生き残ることが自明だったのがもったいなかった。 反面、千年後と現代の日本の世界観の相違・対比を地の文で表すには「千年前の日本を知識として知っている人間による手記」という体裁はベストだったと思うので難しいところ。 6月23日読了。 |
重力ピエロ |
伊坂幸太郎著。 伊坂幸太郎さんの作品ははじめて読んだけど、独特な言い回しの台詞が多い人ですね。 それが軽快で心地良いと思うときもあれば、何と言うか「頑張ってお洒落な台詞を考えてます」感がしてうんざりすることもあり......。 自分でもこういうのが好きなのかどうか判断し難い。 ストーリーは、意外性はあんまりないけど綺麗にまとまってたなぁ、という印象。 6月25日読了。 |
ゲームの名は誘拐 |
東野圭吾著。 珍しく、映画を先に観た作品。 オーソドックスな倒叙物のミステリかと思いきや、終盤の見事などんでん返しで口あんぐり。 というのを、原作の小説で最初に味わいたかったなぁ。もったいない。 東野圭吾さんの小説ははじめて読みましたが、非常に読みやすく、完成度の高い作品だな、と思いました。 映画より面白かった。 6月25日読了。 |
チョコレートナイト |
鈴木直人著。 数年ぶりに再読。 ゲームブック界の巨匠、鈴木直人さんが書いた、初心者向けのゲームブック。 初心者向けとはいえ、かなり緻密に設計されていて、凄く面白い。 ただ、色んな情報を全部記号で処理するのは、逆に初心者にはキャラの状態が想像しづらくてハードル高いんじゃないか、ともちょっと思う。 6月27日読了。 |
シャムタンティの丘を越えて |
スティーブ・ジャクソン著。 数年ぶりの再読。ゲームブックの金字塔『ソーサリー』シリーズ第一巻。旧題『魔法使いの丘』の新訳版。 タイトルは新訳版の方が好き。原題に近いし。 今作単体としては、ゴールに至る唯一の最適ルートを探す、という一般的なゲームブックの遊び方より、難易度が低いので何度も遊んで、ゴールに至る色んなルートを楽しむ方が向いてるかも。旅気分が味わえます。 『ソーサリー』を読んでると「ああ、ゲームブックだなぁ」としみじみ思います。 自分の中ではゲームブックの原体験なんだろうな。 6月28日読了。 |
ハダカデバネズミ |
吉田重人 岡ノ谷一夫著。 真社会性の脊椎動物という、理解の範疇を超えた不思議な生き物、ハダカデバネズミについて、わかりやすく解説した本。 さすがにアリ等の社会性昆虫とは、微妙に仕組みが違うんですね。 凄く興味深い生き物だと思いました。 あと、生態の紹介・解説だけでなく、実際にハダカデバネズミを研究されている方達の、様々な研究の様子や飼育上の苦労話とかもあって、とても面白かった。 しかしこういう生態だと、ほんとにコロニー内の各固体の遺伝子はほとんど同一になるな。 大きな環境の変化があったら真っ先に絶滅しそうなのが悲しい......。 6月28日読了。 |
名探偵の掟 |
東野圭吾著。 深夜にやってたドラマを見て「TVのドラマでこんなメタミステリやるとか凄いな!」と思って興味を持ったのがきっかけで、原作を読むことに。 要はミステリをメタな視点から見たら、コメディになる、という話。 たまにはこういうのも良いかな~。 ただ、短編二、三作ならいいけど、さすがに10作以上あると、くどい(笑)。 6月28日読了。 |
新恐竜 |
ドゥーガル・ディクソン著。 もし6500万年前に、恐竜等の爬虫類達が絶滅していなかったら、という仮定の上に考察された、現代の博物誌。 同作者の『アフターマン』と非常に似た感じの体裁で、非常に楽しいです。 ただ『アフターマン』ほど読んでてワクワクや驚きがなかった。 多分、現代に生きる自分から見て、6500万年前に絶滅した恐竜達自体が『アフターマン』の未来生物と同様、不思議と驚きに溢れる生物だから。 そんな恐竜達と『新恐竜』を比較してもギャップに驚きがないんだろうな。 現代の哺乳類の生態をそのまま爬虫類に置き換えただけの生物とかも結構あったし。 6月29日読了。 |
ななつのこ |
加納朋子著。 数年ぶりの再読。 作品全体を通して、優しい空気が漂っている、連作短編ミステリ。 各短編それぞれも、それと指摘されないと謎と気づけないようなちょっとした謎を、小気味良く謎であると指摘し、解決してくれる面白い作品群ではある。 けど単なる短編集ではなく、全体として一つのストーリーとなるよう、緻密に複線がちりばめられていて、それが繋がるラストが快感。 個人的に一番好きなのは『白いタンポポ』。 あと、無粋なツッコミですが、ブロントサウルスは首長竜じゃないです(笑)。 初読時の感想はこちら。 6月30日読了。 |
ななつのこものがたり |
加納朋子著。 数年ぶりの再読。 『ななつのこ』を読んだら、こっちも無性に読みたくなったので、本棚から引っ張り出してきました。 はじめて読んだとき、『ななつのこ』の作中作そのものかと思っていたら、そういうわけではなくて意外な裏がありそうで、ニヤリとしてしまいました。 とりあえず、この本の一番の見所は、菊池健さんの、優しくて綺麗なイラストが沢山あるところかと。めっちゃ癒されます。 6月30日読了。 |
というわけで、2009年6月に読んだ本は、26冊でした。
この月の読書量ハンパねぇな。
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コメント(9)
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