異端の数ゼロ |
チャールズ・サイフェ著。
数年ぶりの再読。
「ゼロ」という概念がどのようにして生まれたか。
そして、数学だけでなく、宗教や哲学、美術、物理学・天文学等の様々な分野にどのような影響を及ぼしたのかが記されている。
物理学関連の部分は難解すぎて僕にはほとんど理解できなかったけど、それ以外の部分は非常に興味深く読めた。
特に前半の「ゼロ」の概念の誕生・発見まであたりのくだりと、終盤のブラックホールやビッグバン関連のあたりが読んでいて非常に楽しかった。
いつかもっと物理学を理解できるようになったら(なるのか?)また読みたい。
9月7日読了。 |
伝説の森(上) |
マーセデス・ラッキー著。
『ヴァルデマール年代記』シリーズの『ヴァルデマールの風』三部作の三作目。
巻を追う毎に主要登場人物がどんどん増えていっているせいで、ちょっと各キャラの掘り下げができきってない印象。
とは言え、やっぱりこの人は、キャラ同士のキャッキャウフフっぷりを魅力的に描くなあ、とも思った。
味方側・敵側の立場を交互に描いているのが、シリーズ内で知る限りこの三部作だけなのでなかなか新鮮。
あとファンとしては、やっぱりもっとタリアやケロウィンを登場させて欲しいという気持ちもある。
9月17日読了。 |
伝説の森(下) |
マーセデス・ラッキー著。
『ヴァルデマール年代記』シリーズの『ヴァルデマールの風』三部作の三作目。
上巻より引き込まれて一気に読めました。面白かった。
ただやっぱり主要人物が多すぎて、それぞれの内面を掘り下げられきってないというか......ちょっと欲張りすぎてる感があるかな。
この三部作、最後の決戦が毎回あっさり風味なのは意図的なものなんだろうか。
あとケロウィンが<隼じるし>っていう度に吹きかけた(笑)。
9月18日読了。 |
はじまりの島 |
柳広司著。
ダーウィンが有名なビーグル号での航海中に、殺人事件に巻き込まれていた、という設定のミステリ。
最初は実在の人物であるダーウィンを探偵役に据える必要性はあるのか?とちょっと疑問だったけど、歴史的事実と虚構とをうまく織り交ぜて説得力のあるストーリーと結末になっていた気がする。
特に真犯人の動機の皮肉さは、歴史を舞台としたからこそわかりやすく浮き彫りになった気がする。
単純にミステリとしてもしっかりまとまった良作でした。
9月20日読了。 |
魔法飛行 |
加納朋子著。
数年ぶりの再読。
前作『ななつのこ』と同様に、連作短編集という体裁をとっているけど、全体を通して一つの大きな謎が横たわっている、という構成は読んでいて楽しく、解決後のスッキリ感も良い。
主人公駒子の作中作という設定の本文が、編を重ねる毎に文章力が上がって読みやすい文になっていくところは非常に芸が細かいな、と思った。
最後まで黒幕(?)を細かく描写せず、瀬尾さんの推理と関係者の証言だけのぼやけた人物像のままにしたのは毒があって良いと思った。
あと、無粋なツッコミですが、プテラノドンは恐竜じゃないです(笑)。
初読時の感想はこちら。
9月24日読了。 |