ダーウィン『種の起源』を読む |
北村雄一著。
ダーウィンの『種の起源』の解説書。
『種の起源』と同じ章立てで、ダーウィンの書いた内容を現在の生物進化学・分岐分類学などを元に、わかりやすく解説してくれていてありがたい。
『種の起源』に手を出す前に読んどいた方がよさげ。
『ダーウィンの思想』なんかもあわせて読むとさらに背景が理解しやすいかも。
10月5日読了。 |
秘密 |
東野圭吾著。
なんか色々読んでて辛くなる本だった。
平介に感情移入しまくってしまった。
直子に対して色んな意味で嫉妬の感情が生まれまくるのは仕方ないよなあ、と思いつつ、最終的にはどう考えても「父」としての立場しか選択しようがないというのが辛い。
娘を失った悲しみのようなものがあまり描かれていないのは気になったけど、まあ生身の娘の体が家の中に普通にいたらそういう感情も沸きにくいだろうな、とも思う。
10月6日読了。 |
モノレールねこ |
加納朋子著。
「記憶」に関連するお話が多かった印象。
この前読んだ『七人の敵がいる』が、加納さん作品に期待してた感じの内容じゃなかった分、こっちで満たされた。
その中でも『シンデレラのお城』はちょっと異色で良かった。
涼しげで爽やかな狂気みたいなものがあった。
10月8日読了。 |
涼宮ハルヒの退屈 |
谷川流著。
『退屈』はタイトル通り、正直退屈な内容だったけど、他の作品は面白かった。
特に『笹の葉ラプソディ』は綺麗にまとまったオーソドックスなタイムトラベルもののSFで良かった。
『孤島症候群』はアニメ版の方がミステリとしてフェアだし親切だなと思った。
あと、全体的にアニメはびっくりするくらい原作に忠実に作られてたんだなあという印象。
10月10日読了。 |
涼宮ハルヒの消失 |
谷川流著。
シリーズでも特に人気が高い作品と聞いてたけど、確かに綺麗にまとまっていて面白かった。
同様に綺麗にまとまっていた一巻と、ストーリーの構造がほとんど同じなのは意図的なセルフオマージュみたいなもんだろうけど、ちょっとそういうことをするには早すぎない?とは思った。
リアルタイムに刊行を追って読んでたらそうでもなかったのかな。
改変された世界での様子にもっとボリュームが欲しかった。
端的に言えば消失バージョンの長門をもっと見ていたかったw
10月10日読了。 |
涼宮ハルヒの暴走 |
谷川流著。
『エンドレスエイト』、作品としてループなしだとほんとにあっさりだなぁ。
微妙に物足りなかった。
アニメみたいに何度もやられても困るけど。
『雪山症候群』は、肝心の真犯人が全くわからなくて消化不良だった。
館から抜け出す暗号も、取ってつけたようなものだったし。
10月10日読了。 |
天空の蜂 |
東野圭吾著。
ストーリーの盛り上がり的には子供の救出はもっと後のほうが良かったんじゃないかなぁ、とは思った。
でも全体的に見て、のめりこんで一気に読める良い作品だったと思う。
ただ、『さまよう刃』を読んだときにも同様の感想を覚えたんだけど、こういう重いテーマを取り上げてるのにラストがああいう無難な結末を迎えるのなら、問題提起の意味はあるのか?と疑問。
10月11日読了。 |
涼宮ハルヒの動揺 |
谷川流著。
あっさりめな内容。
『ライブアライブ』と『朝比奈ミクルの冒険』は映像化で凄く大きく化けてたんだなあ。
『ヒトメボレLOVER』の展開はかなり面白かった。
ただのバカ話かと思いきや中河くんの異常行動っぷりの理由がちゃんと解決されてたのが○。
『猫はどこへ行った?』は劇中劇があんだけひっぱってた割にあっさりし過ぎかなあ。
『朝比奈みくるの憂鬱』は「今更何故」と思うほどオーソドックスなタイムパラドックスもので逆にびっくりした。
10月12日読了。 |
涼宮ハルヒの陰謀 |
谷川流著。
このシリーズの長編で今までで一番面白かった。
前知識なしで読んだ初の長編だったから、というのもあったかもしれないけど。
一気に風呂敷を広げ始めたけど、これ、まとまるの?
10月12日読了。 |
涼宮ハルヒの憤慨 |
谷川流著。
SF色よりジュブナイルっぽさ?の方が強い感じだった。
『編集長★一直線!』の作中作はもうちょっとひねねりが欲しかったな。
長門が便利キャラ過ぎるので、短編はどうしてもスリリングさに欠ける。
10月13日読了。 |
涼宮ハルヒの分裂 |
谷川流著。
こんな状態で何年も続きが出ていないのか......これは酷いw
この巻が一番面白かっただけに、ひどいw
完全に「次巻に続く」なのでこれ一冊では評価しにくいけど、新たな展開はかなり面白かった。
10月14日読了。 |
ロードス島伝説 永遠の帰還者 |
水野良著。
前半の方はmini文庫で十数年前に読んだ記憶がある。
本編のラストがなかなか辛い感じだったので、最終的にナシェルが帰ってくるのは素直に良いな、と。
あと、『戦記』含めこのシリーズ読んでると作者の女性の好みがわかりやすいよね(笑)。
10月14日読了。 |
葉桜の季節に君を想うということ |
歌野晶午著。
話題になった作品だけあって見事というほかない。
叙述トリックメインの作品は「叙述トリックが使われてる」ということを述べるだけで大ネタバレになってしまうので感想書くのが難しいよね。
正直、色んな人の、ネタバレに気を使って「騙された」としか書いてないような感想をいっぱい見ただけで「ああ叙述トリック使われてるのね」というのはわかってしまってたけど、それでも綺麗に騙された。
『女王様と私』みたいな超展開だったらどうしよう、とちょっとヒヤヒヤものだったけど(いや、あれも好きなんだど)、この作品は剛速球のストレートな叙述トリックという感じで安心して読めた。
10月15日読了。 |
手紙 |
東野圭吾著。
重いテーマを取り上げた場合、どっちつかずな微妙な結末のお話になりがちな作者だと思ってたけど、この作品の結末は良かった。
どこまでも自己中心的で、自分の行動がその後どのように周囲に影響するかを想像する力が皆無な兄。
弟からの最後の手紙で目が覚めたかと思いきや、被害者への手紙の追伸に、わざわざ弟に謝るすべがもうないことを書いちゃうあたりのグロテスクさがなんとも。
あと社長の言葉がいいなと思った。
10月16日読了。 |
六番目の小夜子 |
恩田陸著。
「小夜子」というシステムや、作品全体を漂う独特の空気に引き込まれて一気に読んだ。
途中までは凄く面白かった。
けど終盤の展開がどうもイマイチ理解できないし面白くない。
この著者の作品は『ネクロポリス』と本作しかまだ読んでないけど、どちらも「設定や雰囲気は最高なのに、ラストへと導く展開に論理が希薄で意味不明」というところが残念だったな。
10月16日読了。 |
地下街の雨 |
宮部みゆき著。
全体的にバリエーション豊富な中にもどこか統一感のある短編集だった。
『ムクロバラ』がベタだけど一番面白かったかな。
あと『不文律』の構成も面白い。
SFっぽいのやらホラーっぽいのやら、色んなタイプの作品があって楽しめました。
10月17日読了。 |
らせん |
鈴木光司著。
数年ぶりに何度目かの再読。
『リング』ほどじゃないけどこっちもかなり何度も読んだ作品。
「超自然現象」として済まされていた『リング』による死に、科学的な説明をつけてみましょう、という取り組み。
荒唐無稽な設定にある程度論理的で説得力のある説明をつけてくれる作品は好きです。
『リング』の登場人物が、安藤の視点で語られるのはやっぱり色々ニヤリとさせられて良いなー。
10月18日読了。 |
どちらかが彼女を殺した |
東野圭吾著。
オーソドックスなフーダニットであるにも関わらず、主人公が偽装工作を行なったことで、警察からじわじわ追い詰められるという倒叙物としての側面も持つこの構造は非常に面白いと思った。
ラストで犯人が明かされていない=読者に推理が委ねられている、ということで、容疑者は最初から二人だけだったり、普通のミステリよりヒントが凄くわかりやすく親切に描写されていたりと、色んな工夫が見てとれた。
結局最後まで確信が持てずにググって答え合わせしましたけども w
どちらが犯人であっても意外性のある結末にはならないので、伏せたのは正解かな
10月18日読了。 |
ヤフー・トピックスの作り方 |
奥村倫弘著。
ヤフー・トピックスの中の人がどんな仕事をしているのか、という話。
正直Yahooのトップページとか普段は滅多に見ないので、ヤフー・トピックスの影響力の強さにあまり実感が沸かないのだけれども、強い影響力を持っているのだなあ、ということはなんとなくわかった。
「ジャンクフードコンテンツ」の方が金になる、という話は作中にも出ていた『ウェブはバカと暇人のもの』と通じるところがある。
10月20日読了。 |
太陽神の司祭 上 |
マーセデス・ラッキー著。
カース側から見たヴァルデマールという変な国についての描写が新鮮で凄く楽しい。
それと同時に、『運命の剣』でケロウィンが散々苦労した変な国・カースの内情が色々知れるのも凄く新鮮で楽しかった。
懐かしい面子もどんどん登場するし、良い感じ。
下巻でついに顔を合わせると思われるカラルとアン=デシャがどういうことになるのか非常に楽しみ。
10月23日読了。 |
太陽神の司祭 下 |
マーセデス・ラッキー著。
カラルの「ぼくたちカース人が、長い間ヴァルデマールに対してしてきた間違いを犯さないで欲しいんだ」という台詞に彼の成長の全てが凝縮されているな、と感じた。
非常に面白かった。『裁きの門』あたりで「共に歩むものとレイシーア=イーのカル=エネイドゥラルの性質が似てる」というような記述があって、その時は意味がわからなかったけど、カースの火猫の出現で何となく理解できた。
今後、帝国とどうなっていくのか、続きが楽しみ。
10月24日読了。 |
ループ |
鈴木光司著。
数年ぶりに何度目かの再読。
初読時は三作目にしてとんでもない展開に持ってきたものだと愕然としたのをよく覚えている。
改めて読んでみて、『エッジ』の超展開は、ループワールドかそれに類する世界の終焉を描いたものなんだろうなあという思いをさらに強くした。
10月24日読了。 |
幻夜 |
東野圭吾著。
非常に面白かったんだけれども。
美冬が『白夜行』の雪穂かもしれない、と読者に想像させる材料か各所に散りばめられているのもニヤリとさせられて楽しいんだけれども。
ここまで最初から最後まで『白夜行』のコピーみたいな作品を同じ作者が書く意義は何だろう?
そこばっかりが気になった。
『白夜行』との明らかな違いは共犯者である雅也視点の描写が沢山あり、雅也も単に利用されているだけというのがはっきりすること。
ということは『白夜行』の亮司も単に利用されただけだったのかな?とか、より「魔性の女」の怖さを引き立たせたかったのか?とか
10月26日読了。 |
スラムダンク勝利学 |
辻秀一著。
最近話題の『もしドラ』の逆バージョン的なもの。
スラムダンクをベースに、成功哲学的というか自己啓発的なあれを読み解こうという本。
スラムダンクに馴染みがあると実感としてすんなり入ってくるよね。
スポーツに限らず普遍的な内容だと思う。
10月27日読了。 |