ロードス島戦記 |
水野良著。
十数年ぶりに何度目かの再読。
懐かしい。とにかく懐かしかった。
ファンタジー入門的な位置付けの作品として、非常にとっかかりやすい良作。
ただ、今読むとさすがに擬音語の多用や安っぽい台詞等、文章力がちょっと......という感じではありますね(笑)。
とはいえ良いストーリーだと思う。
あと、年を取るとウッドやスレインに感情移入できますね。
12月6日読了。 |
ネバーランドのカボチャ男 |
林友彦著。
和製ゲームブックの傑作『ネバーランド』シリーズの最終巻。
前二作とは違って初読のため、完全に新鮮な気分で楽しめた。
ボードゲームとゲームブックを足したシステムで、盤上のマスに書かれたパラグラフ番号を読むとイベントが起きる、という感じ。
序盤の戦闘バランスが非常に厳しかったけど、最後までプレイして全体を見ると、シリーズ最高のバランスの良さだった。
謎解き等の難易度はマルチプレイ前提ということもあり、低め。
ゲーム性重視のため、読み物としての良さはあまり感じられなかったのが残念だが面白かった。
いつかマルチプレイしたい。
12月10日読了。 |
ありえない!? 生物進化論 |
北村雄一著。
クジラがカバに近い生物から進化した話、恐竜から鳥に進化した話、パージェス頁岩のカンブリア紀の節足動物群を題材に、進化の歴史と、生物の分類学の手法について解説した本。
文章も、添えられたイラストも、なかなかわかりやすくて良かった。
グールドの『ワンダフル・ライフ』に対する最近の評価に関する記述が印象的。
恐竜大好きっ子だったけど、新生代初期の哺乳類や鳥類に興味が出てきた。
12月11日読了。 |
ダーウィンの思想 |
内井惣七著。
ダーウィンがどのような思想の発展を経て自然淘汰説に辿り着き、『種の起源』を著し、「特別な存在」であった「人間」を、進化論の枠内に放り込んだのかを、時代を追って解説している。
非常に面白かった。
道徳感覚・共感能力と呼ばれるものが、自然淘汰によってどのように形成されていくのかという考察が興味深かった。
様々な社会的背景による影響を、ダーウィンがどのように受けていったのかが非常にわかりやすかった。
12月13日読了。 |
ロードス島戦記 2 |
水野良著。
十数年ぶりに何度目かの再読。
シリーズで一、二を争う好きなエピソードだったことを、久しぶりに読み返して改めて思い出した。
細かい描写とかを結構覚えていて驚き。
今読むと、一巻と比較して水野さんの文章力が上がってるのがよくわかる(笑)。
魅力的な登場人物が沢山出てくるのがこのシリーズの売りですね。
特にナルディアの存在感は圧倒的。
12月14日読了。 |
クマムシ?! |
鈴木忠著。
「不死身の最強生物」として有名なクマムシの解説書。
冒頭から、著者のクマムシ研究の楽しさが凄く伝わってきて非常にワクワクして、一気にのめり込んで読めた。
僕自身もほぼ鵜呑みにして信じていた「不死身伝説」の真相を、冷静に分析し解説してくれたのはありがたがった。
必ずしも「不死身」ではないとわかっても、さらに魅力的なクマムシの生態に興味が湧きまくり。
まだまだ謎の多い生物なので、わからないことははっきり「わからない」と断じているところも好印象。
研究が進んでさらに詳しい生態が知られるようになるのが楽しみ。
12月15日読了。 |
犯罪小説家 |
雫井脩介著。
非常に好きな作品だった。
冒頭で解決すべき事件が提示されるわけでもなく、淡々と進んでいくストーリーの裏に、何となく流れる不穏な空気。
いつまで経っても微妙に見えない物語の着地点。
こういうスロースターター的なサスペンスは、ハマると大好物。
主要人物がみんな病んでいて、その行動が当たり前のように記述されてるからこっちまでおかしくなりそうな雰囲気が良かった。
小野川の「この感覚、映画にしてえ」という台詞と、メタ的・再帰的なラストが強く印象に残った。
あと『犯人に告ぐ』読んだ時も思ったけど、ウザい人を描くのがうまいなあ(笑)。
12月16日読了。 |
展覧会の絵 |
森山安雄著。
数年ぶりの再読。
和製ゲームブック屈指の名作。
ゲーム的要素よりもストーリー部分重視で、冒頭から一気に作品世界に引き込まれる構成が魅力的。
ラストはなかなか感動できる。
一方で、ゲーム的要素としては、あまりにもダイスによるランダム性に依存している部分が多すぎて少々不満が残る。
持ってれば少し有利になるようなアイテムはまだしも、最重要アイテムである宝石の一部さえ、単純にダイスの出目で入手が左右されるのはどうかと。
でも「複数の箱庭的小世界を順に旅していく」というストーリーは大好物なので非常に好きな作品。
12月19日読了。 |
深海生物ファイル |
北村雄一著。
奇妙な深海生物を沢山紹介している本。
前半はカラーの写真が豊富で、眺めているだけでも楽しい。
後半は、色んな深海生物をテキストとイラストで紹介している。
「どのように進化してこういう奇妙な生態を獲得したのか」みたいな深い考察はあんまりなかったのがちょっと物足りなかったけど、大まかに「どんな深海生物がいるのか」を知るのにはちょうど良かった。
12月20日読了。 |
魔法の使徒 上 |
マーセデス・ラッキー著。
ヴァルデマール年代記最新刊。
正直、今までのシリーズ全部読んでるからこれも読まないと、みたいな義務感だけで読み始めたんだけど、予想してたよりずっと面白かった。
冒頭で主人公が置かれている環境が、タリアやケロウィンそっくりだけど、これはもうシリーズ恒例のお約束みたいなもんと好意的に受け取った方が良いんだろう(笑)。
この作者は登場人物が少ない物語のほうが面白いな、と『風』三部作後半と本作を比べて思った。
下巻が楽しみ。
12月21日読了。 |
魔法の使徒 下 |
マーセデス・ラッキー著。
ヴァルデマール年代記最新刊。
シリーズ内でも『風』『矢』あたりの三部作よりよっぽど面白かった。
序盤からひたすらヴァニエルに不幸が襲いかかりまくって、終盤精神的に成長した彼が自分に与えられた責任に目覚めて救われる、という展開がなかなか爽快。
十二国記の『月の影~」と展開がちょっと似てるかな。
でかいスケールで国同士の戦争云々より、キャラクターの内面に焦点をあわせて描写された物語のほうが面白いですね、この作者さんは。
12月24日読了。 |
ロードス島戦記 3 |
水野良著。
十数年ぶりの再読。
一気に主要人物が増えたけど、改めて読むと、うまく活躍の場を分散させているなぁと思った。
一巻の頃からちょっと首をひねるレベルだったパーンの名声の高さは既に無駄にインフレしてる感がある。
一方で、ドラゴンを圧倒的に強い存在として描写しているような、ある意味での現実的な部分もあり。
このアンバランスさがロードスだなぁと思う。いい意味でね。
12月25日読了。 |
ロードス島戦記 4 |
水野良著。
十数年ぶりの再読。
ラストの呉越同舟っぷりが熱い。
この上下巻だけでなく、この後のストーリーに大きく関わってくる伏線も綺麗に張ってあって、一番『ロードス島戦記』というストーリーを大きく膨らませた巻かもしれない。
上巻では凄く強大に描かれていたドラゴンが、下巻では結構あっけなく倒されちゃうのがちょっと残念かな。
このあたりから群像劇としての色が濃くなってきた気がします。
12月26日読了。 |
竜の血を継ぐ者 |
中河竜都著。
数年ぶりの再読。
旧題『ドラゴンバスター』のリメイク版ゲームブック。
非常に完成度の高い、双方向型のゲームブックでした。
ゲームシステムや戦闘バランスもなかなか緻密に計算されているので、キャラ育成が楽しかった。
ストーリー的には、序盤から双方向ゆえにどこにでも行けるせいで最初はちょっと盛り上がりに欠けるけど、終盤の展開は非常に熱い。
意外なラストも良い感じ。
メタ的に見たとき、どうあがいてもハッピーエンドにならないあたり賛否両論だろうなと思うけど、個人的には好きだなぁ。
12月28日読了。 |
へんないきもの |
早川いくを著。
広く浅く、変な生き物達を紹介した本。
文章はツボにはまれば面白いんだろうけど、無理に笑いを取ろうとしている感が正直くどい。
もうちょっと真面目な解説を期待してたけど、それはこの本に期待することじゃなかったみたい。
イラストは凄くリアルで綺麗だったので良かった。
あと、アザラシのタマちゃんと、ツチノコの考察は素直に面白かった。
12月31日読了。 |