大阪市立自然史博物館で特別展『OCEAN! 海はモンスターでいっぱい』を観てきました
大阪市立自然史博物館で現在開催されている特別展『OCEAN! 海はモンスターでいっぱい』を観てきました。
「海」がテーマということで、現生生物・絶滅生物を問わず、多種多様な海棲生物の標本が陳列されていて、非常に見ごたえのある展示となっていました。
捕食の方法や、移動の方法によって分類された展示や、海中での生物の進化の歴史に沿った展示など、複数の切り口で海棲生物の面白さを見せてくれる展示でした。
※なお、この特別展示は大阪市立自然史博物館では2011年11月27日まで開催しています。
その後、岡山と名古屋に巡回予定のようです。
会場に入って最初に目に入るのは、海棲の巨大な生物を集めたコーナー。
いきなり現生の海棲哺乳類クロミンククジラの骨格が出迎えてくれます。
さらに、古生物では首長竜タラソメドンの全身骨格や、史上最大のウミガメであるアーケロンなども。
やはり、でかい骨格標本はそれだけでテンション上がりますね!!
生息域別に、魚類をはじめとする現生の海棲生物の剥製をずらっと並べたコーナーも、様々な標本が一気に見られてなかなかの迫力。
魚類の剥製ってなんかテカテカしてるよね。
なかなか珍しいというか面白い標本も色々と展示されていて、特に興味深かったのが、このジュラ紀のコウモリダコの化石。
左の写真だとちょっとわかりにくいんだけど、イカスミの痕がくっきり黒く残っているんですね。
右の写真はイカスミ部分の拡大。
1億5,000万年前の化石に、こんな風に痕跡が残ってるなんて凄まじい奇跡だな!! と非常に感動を覚えました。
あと、体の一部が切り開かれて、内臓まで見えるよう処理された現生のシーラカンスの標本もとても興味深かったです。
プラスティネーションといって、樹脂を体の水分と置き換えて製作するらしいです。
体表と体内の構造を一度に見られる、一粒で二度美味しい的な感じの凄い標本だなと思いました。
エディアカラ紀や、カンブリア紀のいわゆるバージェス頁岩動物群をはじめとする、ちっちゃな化石も沢山展示されていました。
この辺のヤツラは、かなり変てこな姿かたちをしていて、化石だけを見ても素人にはどんな姿なのかさっぱり想像がつかない生物が多いので、化石の横に復元画が一緒に並べられているのはとてもわかりやすくて良かったです。
海棲絶滅節足動物の代表的存在である三葉虫やウミサソリの化石も沢山。
特に右端の大きなウミサソリ、ミクソプテルスのでかさはかなりワクワクものだったんですが、もっとでかい2.5mくらいのウミサソリもいたとか。
ウミサソリはビジュアル的にも凄くかっこいいので、現代にその子孫が生き残っていないのが大変残念な存在です......。
原始的な脊椎動物である無顎類のみなさん。
彼らはその名の通り、まだ顎という器官が発生していない脊椎生物なのですね。
改めて考えると、ものを噛む、という機能を持つ顎という存在は大きいですね。
@afragiさん製作のケファラスピスの復元模型も展示されていました。
下に鏡が設置されていて、裏面もちゃんと見ることができる親切展示。
絶滅魚類の化石では、大好きなどでかい板皮類ダンクルオステウスの頭骨や、やはり巨大な条鰭類シファクティヌスの全身骨格が印象的でした。
他にも、やはり海棲生物がテーマの展示というだけあって、非常に多様な絶滅魚類の化石が展示されていました。
陸生四足動物の祖先に近いといわれるユーステノプテロンなどの有名どころももちろん。
あと、そういえば海棲の両生類っていないよね。
というわけでお次は大好きな海棲爬虫類のコーナー。
天井に二種類のモササウルス類の全身骨格が吊り下げられていてもう大興奮です。
さらに、こちらのコーナーにも巨大な首長竜の全身骨格が。
ちっちゃなケイチョウサウルスが二匹重なった化石も非常に可愛い。
魚竜ステノプテリギウスの化石には、お腹のあたりの赤ちゃんの化石も。
こうした化石があることから、魚竜は卵を産むのではなく、お腹の中で卵を孵して子供を生む卵胎生だとされていますね。
首長竜も、最近同様に卵胎生の証拠となる化石が発見されたというニュースが最近ありましたね。
他には、板歯類という首長竜の祖先と近縁な爬虫類の顎の骨や、海棲ワニの全身化石なども。
他にも様々な海棲爬虫類の化石が大量に。
このコーナーが自分の中で一番テンション上がってたので、やっぱり改めて自分は爬虫類好きなんだなあと実感いたしましたですよ。
続いて海棲哺乳類のコーナー。
クジラの祖先であるパキケトゥス(この子自身は陸棲)と、現生のクジラ類とほとんど変わりのないヌマタネズミイルカの全身骨格。
最近、絶滅哺乳類にかなり興味が沸いてきてるのですが、そのきっかけがパキケトゥスあたりからの「クジラの進化って面白いなー」という好奇心からでした。
こんなありきたりな形態の四足動物がクジラのような形態に進化していく過程というのは非常に興味深いですね。
他にも、既に絶滅して子孫の残っていない束柱類というグループの哺乳類で有名なデスモスチルス(常設展にも展示されてますね)や、最大のカイギュウ類としてこちらも有名なステラーカイギュウなども展示されています。
アシカやセイウチ、アザラシ等の鰭脚類の祖先、アンフィキオン(この子自身はやはり陸棲)と、アロデスムスの全身骨格。
クジラと同様に、鰭脚類の進化も面白そうですねー。
他にも、アンモナイトやオウムガイの化石ももちろん豊富に展示してありました。
海棲生物のみの展示、というのははじめて見たので、非常に興味深くて楽しむことができました。
個人的にはやっぱり絶滅した海棲爬虫類や海棲哺乳類の化石や全身骨格を沢山見ることができたのがポイント高いです。
展示の切り口も様々なので、色んな角度から海棲生物について学んで楽しめる良い展示だと思いました。
大阪では11/27までやっているのでぜひ行ってみると良いと思いますよ!
日本が誇る海棲爬虫類といえば、やはりフタバスズキリュウ。