ゴキブリたちの優雅でひそやかな生活 |
リチャード・シュヴァイド著。
軽快な文章で、こちらに語りかけてくるような文体が非常に好印象で読みやすい。
が、題材が題材なだけにところどころがなかなかしんどい内容(笑)。
ゴキブリの生態だけでなく、ゴキブリと人間、あるいは人間社会との関係まで、丁寧に解説している。
人間にとって最も身近な昆虫のひとつであるゴキブリのことを、もっと知っておいて損はないな、と思わせる内容。
各章に登場する、ゴキブリと共に生活する人間の描写も魅力的。
5月2日読了。 |
忌憶 |
小林泰三著。
「記憶」を巡る三篇の連作ホラー。
「忘却」とか「自我が維持できなくなること」は根本的にホラーなんだよな、と改めて実感。
特に『垝憶』は非常に小林さんらしい作品で好き。
『奇憶』と『器憶』との関連性も「狂気の側から見た正気な人が、必ずしも正気とは限らない」という感じでじわじわと怖かった。
でも一番ホラーだったのは『奇憶』の主人公のダメ人間っぷりに自分が重なってしまうことかもしれないw
5月2日読了。 |
Twitter革命 |
神田敏晶著。
これからTwitter始める人にはわかりやすい内容なんじゃないでしょうか。
本の性格上、既に情報が一部古くなってるのは仕方ない。
著者の神田さんに興味が持てたのが個人的には一番の収穫かな。
5月3日読了。 |
ロードス島伝説2 天空の騎士 |
水野良著。
十数年ぶりの再読。
あんまり内容覚えてなかったので、非常に楽しんで読めた。
一巻以上に群像劇的な色が濃くなっている。
登場人物がみんな魅力的で良いですね。
かなり展開が駆け足な印象もあるけど、その分テンポがいい。
5月3日読了。 |
iPhoneとツイッターで会社は儲かる |
山本敏行著。
Twitter入門書にありがちな「どこかで読んだことがある気がする事柄の寄せ集め」ではなく、実際に iPhoneとTwitterを全社導入した事例とその効果についてだけを書かれているので非常に参考になった。
Twitterを全社導入する際に一番大事なのは、Twitterを全社導入できるような社風をあらかじめ作っておくことだなぁと思った。
5月3日読了。 |
黒い家 |
貴志祐介著。
数年ぶりに何度目かの再読。
やっぱ貴志さんの作品の中で一番好きだなぁ。
幽霊とか呪いとかより、生身の人間とのディスコミュニケーションと、そこから向けられる殺意が一番怖いんだよ。
今読むとさすがに主人公の行動に一部、ストーリー展開の都合による強引なものがあるように思えるけど、それでもやっぱり怖いもんは怖い。
あと薀蓄は相変わらず。
5月4日読了。 |
女子大生会計士の事件簿DX.1 ベンチャーの王子様 |
山田真哉著。
数年ぶりの再読。
思ってたよりずっと良かった。
ストーリー仕立てで会計士の仕事の雰囲気を知れる、という意味では非常によくできた本。
まあ確かにキャラクターはちょっとブレてる気がするけど、それほど違和感を覚えず読めた。
5月4日読了。 |
フリー |
クリス・アンダーソン著。
『ロングテール』の時と同じく、「みんながそれぞれ感じたり考えたりしていたこと」をようやくまとまった文章にしました、という感じの本なので、目新しさはあんまりない。
でもそれがこれだけのボリュームでまとまっていること自体に価値があると思う。
一言で言えば「肉を切らせて骨を断つ」的なアレだよ。
5月7日読了。 |
Twitterの衝撃 |
枝洋樹、林信行、小林弘人、津田大介、武田徹、高須賀宣、岡野原大輔、片瀬京子、高橋秀和、亀津敦著。
章ごとに文体が違いすぎて読みにくかった。
寄せ集め感満載。
でも、「これは!」という章もちらほらあったりするから評価の難しいところ。
5月7日読了。 |
ツイッターノミクス |
タラ・ハント著。
タイトル以外は非常に真っ当な内容。
こういう本がもっと流行ってくれて、企業の経営者やWeb担当者が読んでくれると、話のわかる人が増えてこっちも仕事をし易くなるのになーと思う。
5月9日読了。 |
絶滅した奇妙な動物 |
川崎悟司著。
カンブリア紀~現代までの「奇妙な」あるいは「有名な」絶滅動物にフォーカスした図鑑。
何らかの動物類に特化せず、全般的に時代を追って紹介されてるので、非常に大まかな流れを掴むのには良いかも。
その一方で、魚類も哺乳類も節足動物もその他も混在してるので、特定の動物類の進化の流れを把握するのには向いてない。
情報が新しいのが良かった。
5月10日読了。 |
神々のプロムナード |
鈴木光司著。
謎解き的なストーリー展開はちょっと強引だけどやっぱり面白い。
アヤシゲな新興宗教を題材にしてるわりには、血なまぐさい事件が全く起こらないある意味スマートな展開は、結構意表を突かれた感じ。
ラストに盛り上がりが欠けたのがちょっと残念かな。
5月12日読了。 |
ガラパゴス |
中村征夫著。
ガラパゴス諸島の写真集。
動物の写真が豊富で、眺めてて楽しかった。
イグアナ!ゾウガメ!アシカ!ペンギン!カツオドリ!みんな可愛いなー。
海中の生物も色々カラフルだったり変な形だったりと、多様で面白い。
5月13日読了。 |
ロードス島伝説3 栄光の勇者 |
水野良著。
この辺から初読かも。
完全に群像劇という感じで、各エピソードがあまり深く掘り下げられずにどんどん進んでいくのがちょっと残念。
ストーリー自体は凄く面白いけどね。
かなり場面転換が多いけど、あんまり違和感なく読めた。
色々思い悩んでる登場人物達が『戦記』ではみんな超人になってるんだなぁとか思いながら読むと色々感慨深い。
5月13日読了。 |
クリムゾンの迷宮 |
貴志祐介著。
数年ぶりに何度目かの再読。
色々と粗はあるけどやっぱ面白い。
この作品と『バトルロワイヤル』がほぼ同時期に発表されたっていうのも色々興味深いなと思う。
初読時はまさか「ゲームブック」なんて単語が出てくるとは思わなかったから嬉しい驚きだったなぁ。
貴志さんの書いたゲームブックでいつか遊びたいとずっと願っていますw
ホラーというよりは冒険物というかサスペンスというか。
でもやっぱり追い詰められる描写の緊迫感は相変わらず凄い。
5月14日読了。 |
ロードス島伝説4 伝説の英雄 |
水野良著。
うーん、このラストは......。
ナシェルが退場するのは確定事項としても、なんかもうちょっと他にどうにかならなかったのかな、と漠然とした消化不良感が残ります。
とは言え、最初から結末のわかりきっていたストーリーを、ここまで魅力的な物語に仕上げたのはお見事。
ウォートの若々しさが凄く以外だったw
5月15日読了。 |
たった一人で組織を動かす 新・プラットフォーム思考 |
平野敦士カール著。
ほんとにやりたいことは、自分が「場」を作って周りを巻き込んだほうが、誰かの「場」に参加するより得。
5月16日読了。 |
青の炎 |
貴志祐介著。
数年ぶりに何度目かの再読。
鼻持ちならないマセガキの独り善がりな暴走を描いた倒叙物。
中途半端に物事を知っているが故の視野の狭さというか青臭さみたいなのが見事に表現されてる。
作品全体を覆う中二病or高二病っぽい空気が良いなぁ。
5月19日読了。 |
黒い森の記憶 |
赤川次郎著。
20数年ぶりの再読。
小学生の時に熱中して読んでた気がする。
終盤のどんでん返しっぷりとか、各視点によって「犯人」が入れ子のように絡み合ってる構造とか、よくできてるなー、と今読んでも思った。
ただ「~~と言って、」とか「~~と呟いて、」みたいな表現が多発しすぎて気になって仕方なかった。
赤川次郎さんの小説かなり久しぶりに読んだけど、こんな変な文章書く人だったっけ。
5月19日読了。 |
長い長い殺人 |
宮部みゆき著。
数年ぶりの再読。
擬人化した財布視点で語られる連作短編ミステリ。
登場人物の財布の視点から物語が語られることによって、読者に与えられる情報を制限する、という手法は素直に凄いと思う。
情報を制限するための装置としての役割だけでなく、擬人化された財布たちの独白が、いかにも財布な感じで文章全体に不思議なコミカルさが漂っているのも凄く好き。
ひとつの事件を多面的な視点から描写して徐々に真相に近づいていく構成は読んでいて楽しい。
5月20日読了。 |
天使の囀り |
貴志祐介著。
数年ぶりの再読。
一見して荒唐無稽なからくりを、凄まじい取材力とロジックによって、見事に説得力を持たせているのはさすが。
ただ、初読時のインパクトは凄かったんだけど、再読すると「あれ?こんなもんだっけ?」な感想になってしまったのは何故だろう。
なんというか、パーツそれぞれは凄く良くできているんだけど、ネタが割れている状態で改めて全体として見たときにどうも目新しさがないというか......。
『黒い家』とかは普遍的な恐怖なんだけど、こちらは一発勝負的な印象が拭えない。
ただ、グロ描写は見事。しばらくなまもの食べるの躊躇するw
5月23日読了。 |
さまよう刃 |
東野圭吾著。
エンターテイメント作品だと思って読んだらかなりテーマ性の強い作品でちょっとびっくり。
少年犯罪について、非常にわかりやすく考えさせられるお話だな、と思った。
ただ、長峰・カイジの二人の結末がああなるのだったら、あえてこのテーマを大きく取り上げて問題提起した意味はあったのか?と思ってしまう。
のりP事件の報道が記憶にあったので、長峰や誠が携帯の電源を入れるたびに「その時点で色々バレね?」と思ってしまった。
あと、密告者の行動は最悪だし説得力がなかった。
5月23日読了。 |
絶滅した哺乳類たち |
冨田幸光、伊藤丙雄、岡本泰子著。
前から読みたいと思ってる『絶滅哺乳類図鑑』の簡易版的位置付けらしい。
64ページと薄い図鑑なので、さらっと主要な絶滅哺乳類が確認できる。
ただ、ちょっと分類の仕方が曖昧で、表示の順番も年代がバラバラだったりして、進化と絶滅の流れがわかりにくかったかな。
5月24日読了。 |
夜愁 上 |
サラ・ウォーターズ著。
期待してたのとなんか違った気がする。
今のところ物語の着地点がさっぱり想像できなくてよくわからない。
評価は下巻を読んでから。
5月27日読了。 |
夜愁 下 |
サラ・ウォーターズ著。
『半身』や『荊の城』のようなミステリ仕立てのストーリーを期待していたので、期待外れ感は否めない。
とはいえ、戦後→戦中と徐々に時間を遡る形で描かれる、登場人物たちの群像劇として、なかなか面白い内容だった。
特に、時系列で考えるとなかなか救いのない内容なのに、描かれている順序で読むとラスト(=時系列的に最初)が非常に感動的なのが印象に残った。
5月30日読了。 |